楽曲編成 |
鐘に恨みは数々ござる。 初夜の鐘をつく時は、諸行無常と響くなり。 後夜の鐘をつく時は、是生滅法と響くなり。 晨朝の響きには、生滅滅已、入相は寂滅為楽と響けども、聞いて驚く人もなし。 我は五障の雲はれて、真如の月を眺めあかさん。 言はず語らずわが心、みだれし髪のみだるるも、 つれないはただ移り気な、ああどうでも男は悪性な、さくらさくらとうたはれて、言うて袂のわけ二つ、 勤めさへただうかうかと、どうでも女子は悪性な、東育ちははすぱな者ぢゃえ。 恋のわけ里数へ数へりゃ、武士も道具を伏せ編笠で、張りと意気地の吉原、花の都は歌でやはらぐ敷島原に、勤めする身は誰と伏見の墨染、煩悩菩提の撞木町より、浪花四筋に通ひ木辻の、禿立から、室の早咲き、 それがほんの色ちゃ。ひいふうみいよ。 夜露雪の日、下関路を、共にこの身は馴染重ねて、仲は丸山、ただ丸かれと、思ひ染めたが縁ぢゃえ。
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