楽曲編成 |
我も迷ふやさまざまに、四季折り折りの戯れに。蝶よ胡蝶よ、せめて暫(しば)しは手に止れ。 見返れば、花の木蔭に見えつ隠れつ羽を休め、姿優しき夏木立、心尽しの、此年月を、いつか思ひの晴るるやと、心一つに諦めて。 よしや世の中、短夜に、夢はあやなし其移り香を 憎くて手折ろか、主なき花を、何の、さらさらさら、さら更に、さらに恋は曲物。露しののめの、草葉に靡く青柳の、いとしほらしく、二つの獅子の身を撫でて、頭うあなだれ、耳を伏せ、花に宿借る、浮世のあらし。彼方へ誘ひ、此方へ寄りつ、園の胡蝶に戯れ遊ぶ、己が友呼ぶ獅子のこま。 花に寄るてふ連だちて、追ひめぐり下りつ、上つ、 傍へ揚羽のしほらしや。 追ひめぐり、下りつ、上りつ、傍へ揚羽のしほらしや。面白や。時しも今は牡丹の、花の、咲きみだれて、散るは散るは、散り来るは、散るは散るは散りくるは、散れ散れ散りかかく様で、おいとしうて寝られぬ。 花見て戻(もど)る。花には憂さをも打ち忘れ。 人目忍べば。恨みはせまい。為に沈みし恋の渕。 心からなる身の憂さを。やんれ、それはそれは。 誠や辛や、花に胡蝶の来連れて。心からなる身の憂さを。 やんれ、それは。誠辛や、花に胡蝶の来つれてつれて、曲物曲物、寄るべ、寄る辺や波の。立つ名もままよ。 口説けど君はつれなさよ。それ。それじや真にさ。 思ひまはせば昔なり。牡丹に戯れ獅子の曲、実に石橋の有様。笙歌の花降り、蕭、笛、琴、箜篌。 夕日の雲に聞ゆべし。目前の奇特あらたなり。 暫く待せ給へや、影向の時節も、今幾ほどによも過ぎじ。 獅子、団乱の舞楽のみぎん。獅子、団乱旋の舞楽のみぎん、 牡丹の花房匂ひ満ちみち、大きんりきん獅子頭打てや囃せや 牡丹芳々、牡丹芳々黄金のずゐ現れて、花に戯れ、枝に臥し転び、実にも上なき獅子王の勢、靡かぬ草木もなき時なれや、万歳千秋と舞ひ納め、万歳千秋と舞ひ納め。獅子の座にこそ直りけれ。
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